東京でオフィスを移転するときや、今のオフィスを改装するときは、デザインや費用を考える前に、ビルの工事のルールと消防署への届出を確認する必要があります。この記事では、賃貸オフィスの内装工事で最初に確認する「工事区分」、東京消防庁への届出と期限、工事の流れ、見積りを依頼するときに準備するものを順に説明します。
この記事は、足立区の内装工事会社Space725(株式会社SpaceDesign725)が作成しています。手続きは出典を示した公的機関の案内をもとにしています。実際の手続きは、ビルの管理会社と、建物を管轄する消防署に確認してください。
オフィスの内装工事で行うこと
- 会議室、応接室、個室をつくる間仕切りの新設や撤去
- 床・壁・天井の仕上げ(タイルカーペット、クロス、塗装など)
- 照明、コンセント、LANや電話の配線
- 受付カウンターや収納などの造作
- 間仕切りの変更に合わせた空調、感知器、スプリンクラーの位置の調整
- サインや家具の設置
賃貸のビルでは、このうちどの工事を誰が発注し、誰が費用を負担するかがビルごとに決まっています。そのため、最初に次の工事区分を確認します。
賃貸オフィスは最初に「工事区分」を確認する
賃貸のビルの工事は、費用の負担と施工する会社によって、A工事・B工事・C工事の3つに分けられます。どの工事がどの区分になるかは、ビルごとの「工事区分表」で決まっています。千代田区有楽町の東京交通会館ビルが物販店舗向けに定めた工事区分表では、3つの区分を次のように定義しています。
| 区分 | 費用の負担 | 設計・施工する会社 |
|---|---|---|
| A工事 | ビル側 | ビル側(基本的な工事) |
| B工事 | テナント | ビル側が指定する設計者と施工会社 |
| C工事 | テナント | テナントが選ぶ設計者と施工会社 |
同じ表では、内装の設計に伴う感知器、スプリンクラー、非常照明、誘導灯の増設や移設、空調の増設や移設はB工事です。分電盤から先の電気工事、LANの配線、内装の仕上げはC工事です。間仕切りで部屋を分けると、新しい部屋にも感知器や空調が必要になることがあります。その工事がB工事にあたるビルでは、ビル側が指定する会社に依頼することになり、テナントが施工会社を選ぶことはできません。
工事区分表を早めに受け取り、テナントが発注するC工事の範囲と、ビル側に依頼するB工事の範囲を分けておくと、予算と工程を組みやすくなります。B工事の金額と日程は、ビル側に早めに確認します。
退去時の原状回復も入居時に確認する
上の工事区分表では、B工事とC工事の多くの項目に「原状回復を条件とする」と書かれています。入居中に行った工事は、退去時に元に戻すのが前提です。どこまで戻すかは賃貸借契約で決まるため、入居時の工事を計画する段階で契約書を確認しておくと、退去時の費用を見込めます。
東京で必要になる消防署への届出
東京消防庁は、テナントの使用を始める方と、内装の工事をする方に、次の届出を案内しています。届出先は建物を管轄する消防署です。
| 届出 | 必要になるとき | 期限 |
|---|---|---|
| 防火対象物工事等計画届出書 | 修繕、模様替え、間仕切りの変更などの工事をするとき | 工事に着手する日の7日前まで |
| 防火対象物使用開始届出書 | 建物やその一部の使用を始めるとき(入居、出店) | 使用を開始する日の7日前まで |
| 工事整備対象設備等着工届出書 | 甲種消防設備士だけが工事できる消防用設備等の工事をするとき(工事を担当する消防設備士が届け出ます) | 工事に着手する日の10日前まで |
工事をせずに入居する場合でも、使用開始の届出は必要です。建物の用途や規模によっては、使用を始める前に消防署の検査を受けます。着工届は、工事の内容が軽微な場合は省略できることがありますが、工事の後の設置届は省略できません。届出には平面図や室内仕上表などを添えるため、図面は工程の早い段階で用意します。
オフィス内装工事の流れ
- 物件選びの段階で相談する:天井の高さ、床下の配線スペース、空調の方式、電気の容量、搬入経路を確認します。
- 現地調査とビルの資料の確認:工事区分表、館内の工事規則(工事できる時間帯、搬入経路、養生の決まり)、図面を確認します。
- レイアウトと見積り:人数と必要な部屋、配線、仕上げを決め、C工事の見積りをまとめます。B工事はビル側から見積りを受け取ります。
- ビル側との協議と届出:工事の申請をビル側に出し、消防署に工事等計画届を出します(着手の7日前まで)。
- 施工:館内の規則に合わせて工事します。音の出る作業は、ビルの決まりで夜間や休日に行うことがあります。
- 完了と入居:使用開始届(使用開始の7日前まで)を出し、必要な検査を受けてから使い始めます。
工期は、広さと工事の内容、B工事の日程、ビルが工事を認める時間帯によって変わります。入居日が決まっている場合は、届出の期限も含めて逆算し、物件を決める前後から相談を始めると余裕を持てます。
見積りを依頼するときに準備するもの
- 物件の住所、入居する階、面積
- 平面図(ビルから受け取った図面があれば)
- ビルの工事区分表と、館内の工事規則
- 入居予定日と、工事に使える期間
- 働く人数と、必要な部屋(会議室、応接室、受付、倉庫など)
- 電源とネットワークの条件(複合機、サーバー、電話の台数など)
- 今のオフィスから移す家具や機器
すべてがそろっていなくても相談できます。足りない情報は現地調査で確認します。内装工事の費用の考え方は東京の内装工事の費用相場に、依頼先の選び方は東京の内装工事会社おすすめ8選にまとめています。
区ごとのオフィスの内装工事
Space725は、23区それぞれの内装工事のページで、区内の地域と、手続きの窓口になる消防署をまとめています。オフィスの多い都心の区のページは次のとおりです。
よくある質問
仕事を続けながらオフィスの内装工事はできますか?
できる場合があります。工事する範囲を分けて順番に進めたり、音の出る作業を休日や夜間に行ったりします。ビルが工事を認める時間帯を確認したうえで工程を組みます。
工事をしないで入居する場合も、消防署への届出は必要ですか?
必要です。東京消防庁は、建物やその一部の使用を始める方に、使用を開始する日の7日前までに防火対象物使用開始届出書を出すよう案内しています。間仕切りの変更などの工事をする場合は、これに加えて工事等計画届が必要です。
B工事の会社を自分で選ぶことはできますか?
工事区分表でB工事とされている工事は、ビル側が指定する会社が施工するため、テナントが選ぶことはできません。どの工事がB工事になるかはビルごとに違うので、工事区分表と見積りの内訳で範囲を確認してください。
見積りは無料ですか?
Space725は、お見積りを無料で行っています。現地調査の範囲などに条件がある場合は、事前にご案内します。
運営者の紹介:Space725のオフィス内装工事
この記事を作成したSpace725(株式会社SpaceDesign725)は、足立区を拠点に、東京23区と多摩地域で店舗、オフィス、住宅の内装工事を行っています。現地調査から設計、施工まで担当し、ビルの工事のルールと業務への影響を確認して工程を組みます。